集電と駆動装置の問題だが、試しに台車を外してからモーターに直接電流を流してみると、中央のシャフトを含め非常にスムーズに回転した。なので、レールからの集電を含めたモーターまでの給電方法と台車の駆動部分に問題があるに違いない、と思った。
給電に関しては改善の方法がいくつかある。この製品では4軸のうち2軸の車輪からしか、絶縁側からの集電をしていないので、とりあえず、LGBのパーツを使うなどして全車輪から集電することにした(下の写真)。
注目したのは、この模型の台車の側梁(サイド・フレーム)が左右各1本の小さなビスで枕梁(ボルスター)に固定されていることである(下の写真)。これは昔自分が遊んだHOゲージのブラス製台車を思い出させる構造である。その構造には利点があって、段のついたビスで固定して遊びを持たせることで、側梁がビスを中心に回転する形で動き、イコライザーのような機能を持つことである。
しかし、シェイにこの構造を用いると、シェイ独特の問題が生じる。なぜなら、これらのビスが、ギア同士の噛み合わせを維持するという役目も担うことになるからである。なので、この製品の場合、側梁と枕梁の間に遊びを作る仕掛けは設けられてはいない。ビスを締めて固定したときに、ちょうど良いギアの噛み合わせができれば良いのである(ビスを締めればギアが深く噛み合い、緩めれば噛み合いが浅くなるという具合に調整できるわけではない)。
ところが困ったことに、この模型では、走らせているうちににビスに負担がかかり、緩んでしまうようなのだ。そして最終的にはギアが滑るようになってしまうか、ギアが互いに噛み合って動かなくなってしまうようなのだ。ビスをしっかり締めても、緩みが生じてくる。前述のHOの台車とは違い、意図したものではないわけだが、台車の構造上、側梁を回転させようとする力が働くのかも知れない。
実物のシェイでも、シャフトのギアと車輪のギアには大きな力がかかる。それによって台車のどこかで歪が生じると、ギアの噛み合わせに影響するだろう。ギアの良好な嚙み合わせは、シェイの生命線だと思う。模型でも、実物と同じ駆動の仕組みを再現しようとするならば、ギア間の適度な遊びを維持できるよう、しっかりとした台車の構造が必要なのだろう。
そういう視点から、シェイの台車の写真を見てみると、左右の側梁を何本かのステーで結んで補強してあることの意味がわかってくる。きっと上記のような問題を解決するために、なされた工夫なのだろうと、勝手に理解した。そして、今回のキットバッシュでも、できる限り台車の補強を試みることにした。そして、まずは下の写真のように補強のステーを取り付けた。
効果は大きく、これによってスムーズにギアが回転するようになった。当然のことかも知れないが、例のビスが緩んでも、ギアの回転には影響が出なくなった。もちろん、全体を組んだ後にさらに結果を検証する必要があると思う。
ところで、以上のような話は本当にマイナーなものである。鉄道車両に関する用語も正しい使い方になっているのかはわからない。なので、こうした記事は、ほとんど個人的なメモ以外の意味はないだろうと思っている。しかし、模型作りでの問題を解決するために色々と調べることは、好きな機関車について、さらに自分の理解を深めることになる。それは結構楽しいことなのだ。
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