ポーターのサドルタンクへのこだわり

2021年12月15日水曜日

Porter 0-4-0

ポーター(Porter)のサドルタンクは、「亀の子」とも呼ばれて愛されてきた。
もうずっと以前に、乗工社のキットを組み立てたのが、この機関車の模型との最初の出会いであった。いわゆる「ナローゲージ」の機関車であるが、これは、HOn30というスケール(縮尺1/87、軌間9mm)の模型である。(保管してあったので写真を撮ってみた)


その後同じ縮尺で国内の他のメーカーからもキットが出されている。またこの機関車にはかつてOn3(縮尺1/48、軌間19.1mm)やOn30(縮尺1/48、軌間16.5mm)というスケールで米国のGRANDT LINEの精密なプラキットがあったと記憶している。On3ではPSCの高価なブラス製もあった。そして比較的最近になって、BachmannがOn30で完成品を出している。日本ではあまり一般的ではないと思うが、Sn3(縮尺1/64、軌間14.3mm)というスケールでも、英国のBackwoods Miniaturesからキットが出ているようだ。ラージスケールでは、ドイツのLGBと米国のAccucraftが完成品を出していた。こうして見るとこのポーターの機関車は、鉄道模型の世界において、かなりポピュラーな存在だということがわかる。小さな機関車なので、模型として楽しむのに適しているのかもしれない。

もちろん、それだけが理由ではないと思う。蒸気機関車といっても、これは独特な形をしている。ナローゲージの機関車に共通することだが、狭い軌間のレールの上を走る小さな機関車の場合も運転する人の身長などは同じだから、キャブ(運転室)を小さくするにも限度がある。そこから何とも言えないアンバランスな印象が生まれる。このポーターの場合、それが顕著にあらわれている。角ばって異様とも思えるほど大きく見えるキャブが、ボイラーの上にまたがる形でのった水タンクと合わせて、ずんぐりとした姿を形作ることになる(これが、あの「弁慶号」と同じポーター製の機関車だと言われてもピンとこないかも知れない)。しかし、この個性的なスタイルこそが、この機関車が愛される理由の一つだと思う。

それにしても、これまでの各模型メーカーのこの機関車への入れ込みには(当然ながらアメリカ市場を意識してのことではあるが)どこか特別なものがあったわけであり、この機関車には、その活躍した時代の歴史的背景も含め、簡単には言い尽くせない魅力があるのだと思う。

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