1. 「ナローゲージ」とは何か
いわゆる「ナローゲージ」の鉄道模型に惹かれている。 しかし、「ナローゲージ」とは何なのか? 自分なりに整理してみたいと思い、調べてみた。
「ナローゲージ」の「ゲージ」は、英語の gauge であり、鉄道の用語ではレールとレールの内側の間隔のことである。 日本語では「軌間」という。 そして、「ナロー」は、英語の narrow (狭い)であり、「ナローゲージ」とは、狭い軌間のことである。 だから、「ナローゲージ」の鉄道とは、線路幅の狭い鉄道ということになる。 「何を基準に狭いというのか?」という疑問が沸くが、その基準が存在する。世界的に見た場合、鉄道の軌間は1,435㎜を標準としていて、それを「標準軌」と言う。 そして、これより狭いものは「狭軌」ということになる。 英語では、「標準軌」は standard gauge であり、「狭軌」が narrow gauge なのである。また、「標準軌」より広い軌間は「広軌」であり、英語では broad gauge である。「広軌」にも「狭軌」にも様々な幅のものがあり、アメリカには23種類ほどのゲージが存在したという*1。
「標準軌」は Stephenson gauge とも呼ばれ、そのルーツは、周知の通り、初の実用的な蒸気機関車を作ったスティーブンソンにある。 スティーブンソンは、英国のキリングワースの炭鉱で蒸気エンジンの仕事をしていた。 1814年に、そこで石炭を運んでいた馬車軌道で使うために蒸気機関車を作り、実用化に成功した。鉄のレールと蒸気機関車は、鉱山鉄道のために生まれたのである。だが、それらを木製のレールと馬のかわりに使うという発想自体は、スティーブンソンの独創ではない。彼はトレビシックなどの先人の経験を活かしながら、鉄道を使えるものにしたのである*2。その後も彼は機関車の改良を続け、初めての旅客鉄道などで彼の機関車が採用されていった。そしてそれらの鉄道も同じ軌間であった。 もっと広い軌間の方が良いと主張する鉄道との争いもあったが、英国は、1846年に実績のあったスティーブンソンの軌間を、「軌間法」という法律で曖昧ながらも事実上の標準としたのである*3。炭鉱の馬車鉄道の軌間がそのまま標準になったことになる。そして、この軌間は米国をはじめ、世界に広まり、日本の新幹線など、世界の70%の鉄道がこの標準軌を採用しているという*4。
2.主な「ナローゲージ」
標準軌より狭いものが「ナローゲージ」だということになれば、色々な幅の「ナローゲージ」があって当然である。 たとえば酒屋さんの倉庫を走るトロッコにも当てはまるかもしれない。 しかし、代表的な「ナローゲージ」の軌間というべきものが存在する。 それは、914mm、762mm 、610mm (600mmも無視できないが)といったところだと思う。いずれも標準軌よりかなり狭い感じだが、これらはナローゲージの鉄道模型を楽しむ場合に知っておいた方が良いものだと思う。
ところで、軌間について、特に「ナローゲージ」について調べる場合に重要なのは、鉄道の軌間は本来フィート・インチによって示されてきたということである。 1,435mmの標準軌はフィート・インチでも4フィート8.5インチというなんとも中途半端な数字だが、上に挙げたナローゲージの場合、914mmは3フィート、762mmは2フィート半、610mmは2フィートなのである。 日本のJRの在来線の軌間も「狭軌」ということになるが、1,067mmで3フィート半である。 したがって主な「ナローゲージ」は2分の1フィートごとに存在していることになる。
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